今回は、病院経営者として避けて通れない話題です。
もう色々な媒体で実態が報告されていますので、日本の病院がどのような状態にあるのか
医療関係者のみならずあまり関係ない方も知る機会が多くなってきました。
にわかに信じられない方も多いとは思いますが、約70%の病院が赤字になっていて、
都市部でも、近未来でさへも持続が難しいとされます。
私もこれまでにいくつかの病院に勤務して学ばせて頂き、
最近でも近隣の病院長さんとお話しする機会も多く、肌感覚的に『そりゃそうでしょうね』と思うだけです。
何が普通かはさておいて
平均的な病院、つまり、普通に経営していると逆立ちしても経常利益をプラスにできない
ということを感じるからです。
医療材料仕入れ値、光熱費などが驚くほど高騰していますし
人材確保には紹介料の支払いが発生し、
事実上、2年ごとに改訂される診療報酬は決まってマイナスになるからです。
これで、お医者さんや看護師さんの給料やら、
薬や医療機器の購入、修繕など賄うことは魔法をかけない限り無理筋でしょう。
管理職のみならず現場でもコスト削減は毎日なにかないかを考えて
たった数千円減らすのにも苦労しますね。
ちょっと前までは、どこの病院でも
『病院が給料上げてくれない!』
とかおっしゃる従業員さんもいましたが、
近頃は、公的病院だけでなくすべての医療法人の財務状況が事実上明確化されるように義務化され、
病院の経営状態まで自由に覗けますので
ちょっと鋭い従業員さんの理解は
『どこの病院も、もうお金ないじゃん!ないところから、給料あげてっていうのは意味がないよな』
ということにうすうすから確信に変わってきている気配がします。
ということで、今や医療従事者たちは、
診療報酬、医療制度を決めている場所?人?仕組み?
に矛先をむけないと、あまり意味がないこともわかってきていますね。
国民皆保険である我が国の社会主義的な医療制度は研修医であっても凄腕医師であっても
治療の価格は、国が共通で決めています(公定価格といいます)のでどの病院でも差はありません
スーパードクターの治療だからといって患者さんには特別価格にすることができません。
なので、いい治療をすればするほど人件費や医療機器から赤字になる側面もあります。
ちょっと言い過ぎかもしれませんが、従業員さんにとってその病院がいいかは、
待遇面より人間関係ぐらいしか差をだすことができないのではと感じます。
全国でたくさんの病院(病床)が消えたとニュースが続いています。
脅しではなく、おそらく近いうちにかなりの病院が日本から消えそうですよ
医療って社会インフラの一部と思っていましたがどうやらそうではないっぽいと理解しています。
我々日本人にとって『身近に医療を受けられるだけで贅沢』という信じられないような状況はもうそこまで来ました。
過去にはあからさまに聞かれなかった
『従業員さんが経営者の状況に同情する声』や、
(そもそも病院がなくなれば働き口もなくなりますからね)
『医療が冷遇されてもこの仕事しかできない!』
と現状を分析して自分に言い聞かせるスタッフさんがいるのも事実。
医療人は命より重いものはないと使命感でやっている者が多いですが、
サプライチェーンも崩壊し当たり前のように患者さんに必要な薬品も手にはいらず、そういった側面からも
もはや理想の医療が求められなくなってきました。
医療を目ざしていたものの実情を知った若い方が、医療以外の道に方向転換し、
成り手の減少が医療崩壊への拍車をかけるのではと危惧さへしています。
もう手遅れというより、必然としてこの状況は絶対的に抗えないのか?
そうとう変態的な思考回路をもてばなんとかなるものなのか?
せめて次回の診療報酬改定は処遇改善を重点化したプラス改定になると期待したいですね
社会保障費増加が牽制されるご時世ですが
正直、個人的思いとして〝1点10円が1点13円以上にならないかな〜〟
また、いつかどこかで『看護師さんの人手不足』の本質は、
『国が決めている看護師さんの人員配置基準が現実に即していない』ことである気持ちを
アップしたいと思っています。
#病院経営
#診療報酬を上げないとやばいです
#看護師
2025年06月18日更新